男性型脱毛症(AGA)の基礎的研究 (第2部) 育毛剤と遺伝子

5α-還元酵素の阻害剤

このように、アロマターゼ阻害剤で治療されている乳癌の女性では、薄毛が進行する可能性が高くなります。

ところで、5α-還元酵素(5α-レダクターゼ)阻害剤は、テストステロンからDHTへの変換を抑制することにより、DHTの産生を低下させます。

つまり、乳癌の治療でアロマターゼ阻害剤を投与されている女性で、5α-還元酵素を併用して、DHTが増加するのを抑制すれば、薄毛を改善できる可能性があるでしょう。

育毛剤
フィナステリドとミノキシジル

フィナステリドとミノキシジルを併用する治療は、男性のAGAに対する、標準的治療として、世界的に推奨されています。

どちらの薬も、髪を濃くしますが、それぞれの作用機序は、異なっています。

フィナステリドは、II型の5α還元酵素を阻害する薬であり、DHTを低下させる、男性ホルモン抑制剤です。

ミノキシジルは、毛周期の成長期を長くする、成長期誘導剤です。男性ホルモンとは無関係に作用します。

フィナステリドとミノキシジルを併用すると、AGAの治療に相乗効果があると言われています。

いわば、黄金コンビといえます。

育毛剤
フィナステリドとミノキシジル

薬剤に対する反応が良い方は、薬物に対する応答者(レスポンダー)と呼ばれます。

フィナステリドやミノキシジルに対する、レスポンダー(応答者)の割合は、著者の経験によれば、人口のそれぞれ約40%くらいです。

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