男性型脱毛症(AGA)の基礎的研究 (第2部) 育毛剤と遺伝子

高用量ミノキシジルの効果
ミノキシジルの用量はどうでしょうか?

外用ミノキシジル液の効果に関して、著者の臨床経験では、15%ミノキシジル・ローションを使うと、多くの男性と女性で、2?5%のミノキシジル溶液よりも、頭髪が濃くなりました。

低濃度の外用ミノキシジル液を塗っても、髪が濃くならない方々でも、高濃度ミノキシジル溶液を塗れば、髪が太くなり、濃くなる場合が多いのです。女性でも、10~15%ミノキシジル溶液を使うと、頭髪が濃くなりやすいです。

高濃度の外用ミノキシジル溶液を使うと、多くの患者さんたちで、低濃度ミノキシジル液よりも、育毛効果が高くなります。

副作用は、高濃度の外用ミノキシジルでは、せいぜい頭皮がかぶれて炎症が出たり、体毛が濃くなったりする程度です。
全身性のむくみや心臓病などの副作用が問題になることは、ほとんどありません。

頭皮のかぶれに対する対策としては、たとえば、15%ミノキシジル溶液などの高濃度のミノキシジル液を使う代わりに、通常濃度の5%ミノキシジル溶液を3倍量使えば、溶質の量は同じになるので、同様の育毛効果を期待できます。しかも、接触性皮膚炎による頭皮のかぶれなどの副作用を避けることができるでしょう。

体毛が濃くなる副作用は、たとえば、レーザー脱毛などで、対処できるでしょう。体毛が濃くなることよりも、頭髪が濃くなることのほうが大切だと著者は考えます。

ミノキシジルの溶液の外用は、錠剤の内服よりも、ずっと安全に使うことができます。

経口のミノキシジル錠の効果に関しても、低用量の経口ミノキシジル錠よりも、高用量のミノキシジル錠のほうが、髪が濃くなる可能性があります。

しかし、ミノキシジルは、容量依存的に効果が強くなるわけではありません。
2倍量のミノキシジルを使っても、効果が2倍になる訳ではありません。多量のミノキシジルを用いても、効果はさほど変わらない場合もあります。

しかし、高用量のミノキシジルの錠剤を内服すると、心臓病など重症の全身性副作用がでる可能性は高くなるでしょう。ですから、著者としては、高用量の経口ミノキシジル錠は、お勧めしません。

ミノキシジル錠を経口で内服する場合は、好ましくない副作用を避けるために、できるだけ低用量で内服するべきだと、著者は考えています。

非応答者における高用量フィナステリドとミノキシジルの効果
個人差について

どんな薬にも、その効果には、個人差があります。
ある薬はある患者さんにはよく効いても、同じ薬が、ほかの患者さんにはあまり効かないということが、よくあります。

育毛薬の効果にも、個人差があります。

フィナステリドとミノキシジルの効果の違いは、SRD5A2遺伝子とSULT1A1遺伝子の、個人差から生じている可能性が考えられています。

通常量の育毛薬を使用しても、髪が濃くならなかったとしても、がっかりする必要はありません。

頭髪密度の増加がごくわずかな場合は、密度の増加に気が付かないだけなのかも知れません。そのような場合でも、育毛剤を続ければ、髪の濃さは維持されるかも知れません。このような方々も、広い意味では、レスポンダーと言えるでしょう。

厳密な意味での、ノン・レスポンダー(非応答者)の数はそれほど多くありません。
多くの方々では、高用量の育毛剤を使えば、いずれにせよ、ある程度は、髪が濃くなる可能性があります。

長期的にみれば、髪が濃くならなくても、育毛剤を続けることにより、現状の髪の濃さを維持できる可能性が高いのです。

現状の頭髪の濃さを維持することが、育毛剤による薄毛治療の、究極の目標と、著者は考えています。

育毛剤の長期的効果
フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル

緑色の線の方々(グリーン・ライン)

頭髪の濃さの増加は、通常、育毛剤による治療を開始した最初の1?2年間で、最大の治療効果に達します。
そして、その後は、加齢とともに若干の薄毛の進行は避けられませんが、育毛剤を使用し続けている限り、髪の濃さは、その後も、それなりに維持されるでしょう。(緑色の線)

青色の線の方々(ブルー・ライン)

育毛剤の量については、使用量を増やせば、低用量のときよりも、髪の濃さが増える可能性があります。
(青い線)

多量の育毛剤を使うことで、髪がさらに濃くなれば、うれしいものです。
標準的な量の育毛剤を使っても、髪が濃くならない、ノンレスポンダー(非応答者)と思われている人々のうちの、約40%の方々では、育毛剤の使用量を増やせば、髪が濃くなって、薄毛の改善を喜べるかもしれません。

しかし、育毛剤で髪が濃くなるのは、最初の1?2年間だけの話です。
育毛剤の治療によって、髪の濃さが永久に増え続けるわけではありません。

育毛剤の効果が1~2年後にピークを過ぎた後は、髪の濃さは現状維持の時期に変わります。育毛剤を続けている限り、髪の濃さは維持されるでしょうが、年齢とともに髪は少しずつ細くなっていきます。

遺伝子で運命づけられた薄毛の進行はだれにも止められませんが、薄毛の進行を遅らせることはできます。それが、育毛剤の役割なのです。

黄色の線の方々(イエロー・ライン)

育毛薬を使わないと、遺伝子で決められた男性型脱毛症の自然な進行に従って、年齢とともに髪が薄くなっていきます。(黄色い線)

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