男性型脱毛症(AGA)の基礎的研究 (第1部) 性ホルモンと脱毛症

分娩後の脱毛症

出産後、多数の頭髪が退行期に変わり、その後、休止期に入ります。時には、出産後の3ケ月間に、多量の抜け毛が経験されることがあります。これは、妊娠による休止期脱毛として、知られています。

出産後の抜け毛の増加は、大変な苦痛です。出産後の数ヶ月は、多くの女性にとって、精神的につらい時期です。

さらに、女性型脱毛症の体質をもともと持っている一部の女性では、産後の薄毛が改善されない場合があります。このような患者さんでは、その後、薄毛がずっと続くことになるでしょう。

妊娠による休止期脱毛

一部の女性は、ミノキシジルを使用して、出産後の抜け毛の増加を、防ぎたいと思うかもしれません。

母乳で育児中にミノキシジル液を頭皮に塗布しても安全でしょうか?
母乳育児中の、ミノキシジル液の使用は、お勧めできません。

頭皮に局所的に塗布されたミノキシジルは、頭皮の皮膚を通して吸収されて、毛細血管から、血液循環に入ります。頭皮からは、いろんな薬が、吸収されやすいのです。
そして、血中に入って全身を循環するうちに、ミノキシジルの一部は、母乳中に移行して、その結果、少量のミノキシジルが母乳に排泄される可能性があります。この母乳を飲むことは、新生児にとって安全ではない可能性があります。

母乳で授乳している間は、出産後のホルモン変化が起きにくく、体内のホルモンが妊娠中に近い状態に維持されているので、授乳期間中は、いずれにせよ、脱毛は減っています。とにかく、乳児が離乳するまでは、女性はミノキシジル液の使用を控えるべきです。

女性が母乳での育児をやめた後は、成長期刺激剤として、ミノキシジル液を塗布しても、大丈夫です。そしてそれは、髪の抜け毛を減らして、出産後の髪の濃さを回復するのに、役立つでしょう。

経口避妊薬

プロゲステロンは、5α-還元酵素の活性を抑制します。そして、アンドロゲン受容体への結合を阻害します。しかし、プロゲステロンは、急速に代謝されます。

経口避妊薬は、プロゲステロンではなく、テストステロンとエストロゲンに関連しています。
エストロゲンは、血中の遊離テストステロンの量を減少させます。

経口避妊薬は、アンドロゲン活性と、エストロゲン活性、あるいは抗エストロゲン活性を有しています。
経口避妊薬の組み合わせは、副腎における、ステロイド新生に影響します。

経口避妊薬は、排卵を抑制し、それによって、卵巣でのアンドロゲンの産生を減少させます。

ときに、経口避妊薬のいくつかの種類は、その薬物に反応する特定の患者で、髪の濃さを増加させます。

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