ミトコンドリア(第2部) 若返り・健康・長寿の秘訣

見せかけの若返り治療は選ばない-2
超音波、ニードル刺激などもよくないです

まとめ

超音波や微小ニードルで皮膚を若返らせてシワをとる方法は、皮膚に良くない影響が残ります。 組織が傷んで線維化するので、繰り返すうちに皮膚が瘢痕化して硬くなり、不自然な顔つきに変ります。

解説

超音波で皮膚のシワやタルミを伸ばす方法があります。

超音波のエネルギーで皮下の深い層の組織に熱損傷を加えて、シワやタルミを伸ばす方法です。 超音波エネルギーは、タンパク質に熱損傷を起こし、筋膜をやけどで熱収縮させるので、皮膚が引っ張られてシワやタルミが伸びます。

皆さんご存じの通り、やけどの跡は硬い線維性のひきつれた組織に変わります。 皮下組織や筋膜がやけどすると、組織が瘢痕線維化して硬くなり、皮膚のしなやかさや柔らかさが失われて、硬い組織に変ります。 瘢痕収縮するときに周囲の皮膚がひきつれます。

瘢痕になって線維化した硬い皮膚は、もとには戻りません。 顔や体の皮膚が硬くなると、とても不自然です。

超音波だから安全・安心ということはありません。 超音波を利用した外科手術のメスもあるくらいです。 超音波のエネルギーは、設定条件によっては、組織を焼いて切ったり、焼き固めて凝固させたりする強い熱パワーを発生します。

超音波エネルギーでタンパク質を熱損傷で収縮させると、組織がやけどで瘢痕線維化して、硬い組織に変わるリスクがあります。 線維化して硬くなった瘢痕組織は、もとの柔らかい組織には戻りません。

微小ニードルで肌に傷をつけて、肌を若返らせる方法もあります。

極細で微小の多数の針で皮膚の表面にたくさんの浅い傷をつける方法です。 極細微小ニードルによるスタンプ治療とか、皮膚ローラー型美容機器による治療などと言われています。 これらの施術もおすすめできません。

皮膚に微小な穴をあけることにより、肌に刺激を与え、皮膚の穴から薬液が染み込んで吸収が高まるとうたっています。

しかし、皮膚表面は、もともと薬液がとてもよく浸透吸収される場所です。 皮膚に穴をあけなくても、皮膚の表面に薬液を塗れば、その成分は皮膚から吸収されて毛細血管に入り、体中に循環して全身の細胞に届きます。

皮膚に多数の穴をあけたからといって、その穴から薬液が入るとは安易な説明です。

実は、スタンプ治療やローラー式美容機器の効果は、皮膚にあける穴から薬液の吸収が促進される結果ではありません。

微小ニードル、スタンプ治療、ローラー式機器の本質は、皮膚に多数の傷をつけることで、その傷を治癒するために、組織の細胞から創傷治癒のための内因性の成長ホルモンが分泌されることを利用した、成長ホルモンの効果なのです。 その過程では、血小板による止血、免疫細胞による炎症反応、線維芽細胞の増殖による肉芽形成、コラーゲンの再構築の順で、組織の創傷治癒が進みます。

傷ついた皮膚の創傷を修復するために、普段眠っている細胞が目覚めて、傷を治すために内因性の成長ホルモンが分泌されるのです。 この内因性の成長ホルモンを利用して、そばにいる皮膚組織を若返らせる効果をねらったものです。

この反応は、皮膚の傷が治れば成長ホルモンの分泌も止まります。 つまり、スタンプ治療やローラー型機器による皮膚の若返り効果は、皮膚の浅い傷が治るまでの短い期間だけの一時的なものです。 永続する効果ではありません。 効果を維持するために、繰り返し施術を受ける必要があります。

これらの治療を続けていると、皮膚組織の炎症反応を慢性的に繰り返す結果、やがて皮膚と皮下組織が瘢痕線維化して硬くなります。 その結果、硬くて無表情で不自然な顔になります。

実は、皮膚に照射する赤色レーザーや赤色光LEDライトの作用機序も同じ原理です。 皮下組織の細胞を刺激して、普段眠っている細胞に炎症反応を起こして目覚めさせて、内因性の各種サイトカインや成長因子を分泌させることで、皮膚組織の若返り効果や、薄毛の治療効果をねらう治療法です。

外部から人為的な侵襲を加えて、皮膚のシワやたるみを目立たなくする安易な治療法は選ばないようにしましょう。 このような施術を繰り返すと、皮膚が瘢痕線維化して硬くなります。 硬く瘢痕化した皮膚は、もとの柔らかい皮膚には戻りません。

人為的な方法ではなくて、ミトコンドリアを若返らせることによって、体の内部から自然に若返ることが、永続する健康長寿・美肌効果・精神の健全化のために大切なのです。

エクソソームによる細胞間の情報伝達

まとめ

全身の細胞は、エクソソームを作って血中や体液中に放出することにより、遠くの細胞とお互いに連絡を取り交わしています。 エクソソームの小胞の中に含まれているタンパク質やRNAを介して、細胞同士が交信して情報交換する仕組みが、近年の研究で解明されています。

解説

エクソソームとは、直径30~150nmの微小な細胞外小胞のことです。 脂質の二重膜で包まれた内部に、マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNA、タンパク質などが含まれています。 体細胞の約1/100~1/1000というごく小さなサイズです。

大部分の真核細胞がエクソソームを血中に放出しています。 ほかの細胞が、これを取り込むことにより、いろいろな情報が伝達されています。

生物の体内では、神経系のシナプス結合や、心筋細胞間での電気信号により、情報が直接伝達されています。 これが古くから知られていた第1の情報伝達経路です。

ほかにもホルモンやサイトカインなどの物質を細胞が血液や体液の中に分泌することにより、血流を介して間接的に信号が通信されています。

免疫系でも、免疫細胞がサイトカインを血中に分泌して、感染や炎症などの情報が通信されていて、免疫応答が引き起こされています。

これらの細胞間通信は、生物の発育、成熟、恒常性(ホメオスタシス)、修復能力の維持などで重要な役割を果たしています。 これらが、第2の情報伝達手段です。

近年、さらに、エクソソーム(細胞外小胞)や微小RNAなどが発見されて、細胞間通信の新しい手段の研究が進んでいます。 体のほとんどの細胞がエクソソームを分泌していて、遠くの細胞に情報を伝達していることが分かってきました。 これが第3の情報伝達手段です。

がん細胞もエクソソームを分泌して、がんの増殖や周囲への浸潤、遠隔転移などを促進していることが分かっています。

ちなみに、ミルクもエクソソームです。 子牛が病気にかからないで元気に育つように、病原菌に対する免疫情報など、たくさんの大切な情報を親牛が子牛に与えているのが牛乳です。

余談ですが、全身の骨を作る骨芽細胞も、エクソソームを分泌して、骨芽細胞同士でマイクロRNAを介して情報交換し合って、骨形成を促進したり、抑制したりしていることが、近年の研究で明らかになっています。

まるで、「最近、重力刺激(G)が伝わって来ないから、われわれの主人は運動をあまりしていないようなので、骨を作るのはサボってもいいかな?」とか、「しばらく骨を作るのを控えていたけど、ここのところ、ジムにでも通い始めたのか、重力刺激Gが来るようになったから、ここらで少し骨を作ったほうがいいかな」と、骨芽細胞同士が相談し合っているかのようです。

たとえば、宇宙飛行士が無重力環境で長期間暮らしていると、重力負荷がないので骨のカルシウム成分が溶け出して脱灰し、骨密度が減少して骨がもろくなり骨粗しょう症になるとか、筋肉量が減少して、地球に帰還したときに自立歩行できないほど筋肉が失われるとか言われています。

普段ヒトが意識しないところで、骨や筋肉を作る細胞同士が情報交換して、運動能力を調整・維持する機能が働いていることが分かってきました。

その情報伝達機能の一部に、1Gの重力刺激がかかとの骨から全身の細胞に直接響くことのほかに、エクソソームを介した細胞間の相互連絡と情報交換が関係しているようです。

ミトコンドリア(第2部)

(以上 文責:柳生)

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