ミトコンドリアと葉緑体

まとめ
ミトコンドリアと葉緑体は、よく似ています。
1. どちらも好気性細菌が進化したものです。
2. どちらも独自のDNAを持っています。
3. そして、どちらも、宿主細胞と共生の関係にあり、宿主細胞の核とは別に増殖します。
解説
植物は、ミトコンドリアと葉緑体を持っています。
ミトコンドリアと葉緑体は、よく似ています。 どちらも好気性細菌が進化したもので、どちらも独自のDNAを持つ原核細胞でした。 そして、どちらも、宿主細胞と共生の関係にあり、宿主の核とは別に増殖します。
ミトコンドリアは、好気性細菌(αプロテオバクテリア)から進化したもので、葉緑体は、別の好気性細菌(シアノバクテリア)から進化したものです。
ミトコンドリアは細胞呼吸を行いますが、葉緑体は光合成を行います。
ミトコンドリアは、動物、植物、真菌の細胞の中にあり、細胞呼吸を行います。 栄養素を分解して、ATPを生成し、宿主細胞のエネルギー源になっています。
葉緑体は、植物や、藻類の細胞の中に存在して、光合成を行います。 太陽光線を利用して、二酸化炭素と水から、グルコースと酸素を生成します。 光合成により、葉緑体は、植物のためのエネルギー源になっています。
構造的には、ミトコンドリアは、細長い管状の形で、外膜と内膜の2重膜でできていて、内膜のひだでエネルギー源であるATPを生成しています。
葉緑体は、楕円形か円盤状の形で、外膜と内膜の2重膜があり、内膜のチラコイドにあるクロロフィルが、太陽光線をエネルギー源に変換します。
地球の歴史の中では、太古の地球の大気には、二酸化炭素と窒素が多く含まれていて、酸素はわずかでした。
その後、光合成をおこなう細菌(シアノバクテリア)が出現して、それが葉緑体になり、二酸化炭素を酸素に変えた結果、大気中の酸素が徐々に増加しました。
酸素は生物には危険なものでしたが、やがて、酸素を利用できる好気性菌(αプロテオバクテリア)が出現して、嫌気性の有核細胞に寄生してミトコンドリアが生まれました。
発生の順番では、葉緑体が先で、ミトコンドリアは後から出現したものです。
45.6億年前に地球が誕生、
42億年前に原始生命体が出現、
36億年前に葉緑素が出現、
28億年前に光合成生物が出現、
21億年前にミトコンドリアが出現した、と考えられています。
ミトコンドリアは酸化還元反応によりATPと活性酸素を産生しています

まとめ
ミトコンドリア内での酸化還元反応でATPが産生されるときに、活性酸素も産生されます。
活性酸素は、酸化ストレスや、生活習慣病や、動脈硬化の原因になります。
活性酸素の一種である一酸化窒素は、血管を拡張し、シグナル伝達物質としても機能して、生体防御反応も、になっています。
解説
ヒトは、呼吸により大気中の酸素を体に取り込み、ミトコンドリア内での酸化還元反応によって、ATPが産生されます。
その化学反応の過程で、活性酸素(ROS)も産生されます。 ミトコンドリア内で産生された活性酸素は、酸化ストレスをおこし、生体の損傷の原因になります。
こうして、活性酸素は、動脈硬化や家族性糖尿病の一部などの生活習慣病や老化の原因になることが、多くの研究で報告されています。
活性酸素の一種である一酸化窒素(NO)には、平滑筋を弛緩させて、血管を拡張する作用があります。
NOには、シグナル伝達物質の機能もあります。 NOは生理機能調節因子のシグナル分子として、cGMPとともに、細菌感染や遺物から宿主を防衛するために、体内のタンパク質の酸化還元状態を維持する働きもあります。
このように、ある種の活性酸素は、生体防御反応に関与していて、健康の維持のために必要な物質でもあるのです。
(参考文献)
山村裕美. 活性酸素(ROS)は悪者か? 生物工学 第92巻 8号, p. 442, 2014.
ミトコンドリアの形
分裂と融合

まとめ
ミトコンドリアは、アメーバのように、常に形が変わります。
ミトコンドリアは、細胞内で、管状の網のような構造で、融合と分裂を繰り返しています。
解説
ミトコンドリアの形は、多くの医学雑誌や教科書の中では、通常、ピーナッツに似た形、あるいは、ワラで編んだワラジに似た構造で表現されています。 しかし、ミトコンドリアの本当の形は、固定したものではありません。 アメーバのように、常に形が変わります。
実際には、ミトコンドリアは、細胞質内の全体に分布していて、管状の網様構造を形成しています。 そして、たえず、融合と分裂を繰り返しながら、変化し続けている、細胞内小器官です。
この融合と分裂の繰り返しを、「ミトコンドリア・ダイナミクス」といいます。
ミトコンドリア・ダイナミクスは、核でコードされた、たった十数種類の蛋白質群によってコントロールされています。
興味深いことに、このミトコンドリア・ダイナミクスには、ミトコンドリアDNA由来の蛋白質は関与していません。










