腸内細菌叢がインフルエンザ感染の肺炎も予防 (4)
善玉菌がCOVID-19やインフルエンザ感染の重症化を予防

まとめ
インフルエンザウイルスに感染したときも、腸内細菌叢の善玉菌が、感染による肺炎の重症化を予防していました。
解説
インフルエンザウイルスに感染したときも、発熱刺激で活性化した腸内細菌叢の善玉菌が二次胆汁酸を増加させることで、免疫系が調整されて抗炎症作用が発揮され、ウイルスの増殖が抑制されて炎症反応とウイルスの暴走が抑えられることがわかりました。
インフルエンザウイルスに感染した場合、いろいろな抗インフルエンザウイルス薬の効果は、感染後の症状が約1日早く改善する程度です。
著者の経験では、インフルエンザに感染しても、腸内細菌叢に善玉菌が多い人は、発熱などの症状が軽症で済んで、しかも早く症状が改善します。
腸内細菌叢の善玉菌は、各種の高価な抗インフルエンザウイルス薬よりも有効だと著者は思います。
(参考文献)
Nagai M, Ichinobe T, et al. Nature Communications. 14:3863, 2023.
乳酸菌が花粉症の症状を軽減

まとめ
ある種の乳酸菌は、花粉症による鼻炎の症状を軽減するようです。
花粉症の治療では、腸内細菌叢を整えることも有効な選択肢になる可能性が示されました。
解説
ある種の乳酸菌は、花粉症の症状を軽減します。 腸内細菌叢がヒトのアレルギー症状を改善するという、驚くべき情報です。
乳酸菌の中でチーズから分離されたある種の菌(Lacticaseibacillus paracasei KW3110株)は、軽症~中等症の花粉症の症状を少し改善するという結果が発表されています。
経口投与した乳酸菌(lactic acid bacteria)のKW3110は、マクロファージを活性化して、2型炎症を抑制するサイトカインIL-12の産生を誘導して、IL-4を抑制する結果、リンパ球のTh1/Th2バランスを改善し、血清IgEの上昇を抑制して、アレルギーによる鼻炎症状を改善しました。
近年、花粉症は国民の約4~5割が悩まされているほど患者数が増えています。 最近、新しい治療薬が次々と開発されて、治療の選択肢が増え、眠くなりにくい治療薬も使えるようになり、花粉症の治療効果も向上してきています。
花粉症の治療では、薬に頼るだけでなく、腸内細菌叢を整えることも有効な選択肢になる可能性が示されました。
(参考文献)
Fujikawa D, Fujii T, et al. Int Arch Allergy Immunol 135 (3): 205-215, 2004.
酪酸菌のすすめ 短鎖脂肪酸の効果

まとめ
善玉菌の酪酸菌、ビフィズス菌、乳酸菌、糖化菌を増やしましょう。 著者のお勧めは酪酸菌です。
酪酸の効果は、便通が良くなり便秘も下痢も改善し、エネルギー代謝改善、免疫系の制御、炎症の抑制、恒常性の維持、ぜん動運動の促進、バリア機能の維持など、さまざまな効果があります。
酪酸は、健康維持のために不可欠で、とても重要な物質です。
解説
善玉菌のなかで、乳酸菌とか、ビフィズス菌の名前は、皆さんも聞いたことがおありでしょう。 最近の話題は、酪酸菌です。 著者のお勧めは、酪酸菌です。 その解説をしてみましょう。
大腸の腸内細菌叢では、善玉菌の大部分がビフィズス菌です。 その数は、乳酸菌の約1,000倍です。 大腸は口から遠く、大腸の中では酸素が少ないので、酸素が苦手なビフィズス菌や酪酸菌の生育に適しています。
それに対して、小腸の上部は口に近くて酸素が多いので、酸素を欲しがる糖化菌が棲むのに適しています。 糖化菌は、乳酸菌やビフィズス菌が増えるのを助けます。
乳酸菌は酸素があってもなくても棲めるので、小腸から大腸にかけて広範囲に増殖しています。 乳酸菌は、酪酸菌の増殖を促進します。
代表的な善玉菌として有名な、乳酸菌は、糖から乳酸を作ります。
ビフィズス菌は、糖から乳酸と酢酸を作ります。
酪酸菌は、水溶性食物繊維やオリゴ糖を分解して酪酸と酢酸を作ります。
酪酸も酢酸も、短鎖脂肪酸の一種で、悪玉菌を抑え、腸のバリア機能を維持して、腸に良い環境を作り、大腸の健康を維持します。
酪酸は、経口で摂取しても、胃や小腸で吸収されてしまい、大腸には届きません。 酪酸は、大腸の中で酪酸菌に作ってもらうのが効果的です。
酪酸は、健康維持のために不可欠でとても重要な物質です。 便通が良くなり、便秘と下痢のどちらも改善する、不思議な効果があります。
酪酸菌は正常の腸内細菌ですので、内服しても副作用はまったくありません。 下痢でお困りの時は、酪酸菌の整腸剤をたくさん飲んでください。 腸内環境が早く正常化するので、下痢は早く治ります。
それだけでなく、酪酸は大腸の正常な機能に欠かせない物質です。 酪酸は大腸上皮細胞のエネルギー源となり、エネルギー代謝の改善、免疫系の制御、炎症の抑制、恒常性の維持、ぜん動運動の促進、バリア機能の維持などの効果があります。
皆さんも、大腸の中に酪酸菌を増やして、酪酸菌と上手に共生しましょう。
きっと健康長寿の効果が期待できるでしょう。










