腸内細菌叢(第4部) 美肌と若返り、病気と認知症の予防、健康長寿

腸内細菌叢が新型コロナ感染の肺炎を予防 (1)
善玉菌がCOVID-19の重症化を予防

まとめ

腸内細菌叢の善玉菌が、新型コロナウイルス感染による肺炎の重症化を予防するメカニズムが解明されました。

解説

腸内細菌叢に、善玉菌が多い人は、新型コロナウイルスに感染しても、肺炎が重症化せずに、軽症で治ることが、報告されています。

東京大学の一戸猛志博士らの研究論文によると、その理由は、次のようなメカニズムでした。

1. 新型コロナウイルス(COVID-19)や、インフルエンザウイルスに感染して、体温が38℃以上に発熱すると、

2. その発熱刺激で、善玉菌の腸内細菌叢が活性化します。

3. 活性化した善玉菌の腸内細菌叢は、体内の二次胆汁酸を増加させます。

4. 増加した二次胆汁酸は、免疫系に影響して、抗炎症作用を発揮します。

5. その結果、ウイルスの増殖が抑制されます。また同時に、ウイルス感染による炎症反応が抑制されて、免疫系の暴走が抑えられます。

6. こうして、新型コロナウイルスに感染しても、肺組織の炎症反応が、重症の肺炎にならず、軽症の炎症で済む、というメカニズムです。

この機構で重要な働きをする二次胆汁酸は、デオキシコール酸(DCA)と、ウルソデオキシコール酸(UDCA)などであることが解明されました。

(参考文献)

Nagai M, Ichinobe T, et al. Nature Communications. 14:3863, 2023.

腸内細菌叢が新型コロナ感染の肺炎を予防 (2)
善玉菌がCOVID-19やインフルエンザ感染の重症化を予防

まとめ

COVID-19では、発熱刺激で活性化した腸内細菌叢の善玉菌が二次胆汁酸を増加させることで、免疫系が調整されて抗炎症作用が発揮されて、ウイルスの増殖が抑制されて炎症反応とウイルスの暴走が抑えられることがわかりました。

解説

新型コロナウイルス(COVID-19)に感染して、体温が38℃以上に発熱したときに、発熱刺激で、善玉菌の腸内細菌叢が活性化します。

活性化した善玉菌の腸内細菌叢は、体内の二次胆汁酸を増加させます。

このようにして増加した二次胆汁酸は、免疫系に影響して、抗炎症作用を発揮します。

その結果、ウイルスの増殖が抑制され、同時に、ウイルス感染による炎症反応が抑制されて、免疫系の暴走が抑えられます。

こうして、新型コロナウイルスに感染しても、肺炎などが重症にならずに、軽症で済む、という仕組みです。

同じことが、インフルエンザウイルスに感染したときにも起こって、腸内細菌が肺炎を予防してくれているようです。

このことから分かるように、二次胆汁酸(デオキシコール酸(DCA)やウルソデオキシコール酸(UDCA))は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザウイルス感染の重症度を予測しうる、バイオマーカーになる可能性があります。

(参考文献)

Nagai M, Ichinobe T, et al. Nature Communications. 14:3863, 2023.

腸内細菌叢が新型コロナ感染の肺炎を予防 (3)
善玉菌がCOVID-19やインフルエンザ感染の重症化を予防

まとめ

善玉の腸内細菌叢は、宿主の免疫系を調節して、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスに感染したときに、宿主を守る働きをしていることが、最近、分かってきました。

そして、ウイルスの増殖が抑制されて炎症反応とウイルスの暴走が抑えられることがわかりました。

解説

前述のようなメカニズムにより、善玉の腸内細菌叢は、宿主の免疫系を調節して、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスに感染したときに、宿主を守る働きをしていることが、最近、分かってきました。

この最新の研究によって、腸内細菌叢が、さまざまな機能を発揮していることの一端が、解明されました。

新型コロナウイルスに感染しても、小児や若い人は、重症化しにくいと言われてきたことの理由の一つには、腸内細菌叢に善玉菌が多いことが関係しているのかも知れません。

高齢者が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいので、感染に対する抵抗力が弱い高齢者は、腸内細菌叢に善玉菌を増やすとよいでしょう。

さらに、インフルエンザウイルスが細胞内で増殖したり、症状を悪化させるときに利用する、生体側の特定のタンパク質として、Arhgef28とLasp1が、東京大学の河岡義裕博士らにより特定されました。

ウイルス性の上気道感染は、冬に増える理由がハーバード大学のHuang博士らによって研究されました。 気温が低くなると、ウイルスによる上気道の感染を防ぐ鼻の免疫反応が抑制されて、感染症が発生しやすくなるのです。

鼻孔の細胞が細菌やウイルスなどを検出すると、鼻腔上皮から細胞外小胞(EV)が粘液中に放出されて、マイクロRNAを送り込み、ウイルスと結合・中和して抗ウイルス活性を発揮して、宿主をウイルス感染から保護します。

ところが、寒い環境で鼻の中の温度が低下すると、EV分泌が減少して、EV中のマイクロRNAの輸送が低下し、EV上のLDL受容体、接着分子ICAM-1の発現量が低下して、鼻腔上皮細胞由来のEVを介した抗ウイルス活性が低下しました。

(参考文献)

1. Nagai M, Ichinobe T, et al. Nature Communications. 14:3863, 2023.

2. Ueki H, Kawaoka Y, et al. Cell, June 16, 2026. Doi: 10.1016/j.cell.2026.05.032.

3. Huang D, Bleier BS, et al. J Allergy Clin Immunol 151(2); 509-525, e8, Feb, 2023.

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