腸内細菌叢(第2部) 美肌と若返り、病気と認知症の予防、健康長寿

温泉の大浴場

まとめ

お風呂のお湯に浮いている腸内細菌の善玉菌や悪玉菌が、ヒトから人に移る可能性があります。

温泉の大浴場や銭湯などの共同浴場では、お湯の中にほかの人の腸内細菌が浮いているでしょう。 高齢者の多い温泉では、悪玉菌が浮かんでいる可能性が高いと考えられます。

解説

前の項目で、お風呂のお湯を経由して、腸内細菌が、両親から子供の体内に移ることを、お話しました。

善玉菌だけでなく、悪玉菌も、お風呂のお湯を介して、ヒトから人に移る可能性があります。

温泉の大浴場や銭湯は、共同浴場なので、お湯の中に、ほかの人の腸内細菌が浮いていると思われます。 高齢者の多い温泉では、ウエルシュ菌、ブドウ球菌、大腸菌などの悪玉菌が多く浮かんでいる可能性が高いと考えられます。

温泉でも、追いたきの大浴場では、お湯は入れ替えないので、お湯の中に、ほかの人たちの腸内細菌叢の菌が混ざったままの状態です。

銭湯でも、一日の最後の時間帯に入ると、お湯にアカや汚れが浮いるのが見えます。

当然、お湯の中には、いろんな人の腸内細菌がたくさん混ざっているはずです。 そして、高齢者が多いお湯では、大腸菌などの悪玉菌やレジオネラ菌が浮いていると考えられます。

かけ流しの温泉では、新しい温泉水を常に浴槽に注ぎ続けて、お湯をあふれさせているから、安全でしょうか?

かけ流しの温泉でも、大浴槽の水面近くのお湯は入れ替わっていますが、浴槽の深い部分のお湯は入れ替わりが不十分なので、いろいろな菌が繁殖するでしょう。

温泉のかけ流しでは、最低でも週に1回、浴槽のお湯を全部抜いて浴槽の壁を洗って消毒すべきだと言われています。

実際にどれだけの温泉が、それを実行しているでしょうか?

温泉の後にシャワー

まとめ

温泉で入浴した後は、シャワーで体をよく洗い流しましょう。

解説

温泉で入浴した後は、シャワーで体をよく洗い流したほうが、よさそうです。

前の項目で説明しましたように、温泉の大浴場や銭湯では、湯の中にほかの高齢者の悪玉菌が浮いている可能性があります。

温泉の大浴場や銭湯などの公衆浴場の湯は、あまり清潔ではないことがあります。 大浴場や銭湯で入浴したあとは、シャワーで、全身をよく洗い流すことを、お勧めします。

温泉で入浴後に、温泉の効能成分が皮膚の表面に付着したままでいることは、足腰の痛みやお肌に有効かも知れませんが、ほかの人の腸内細菌も皮膚に付着している可能性がありますので、ご注意ください。

温泉の成分と腸内細菌叢

まとめ

温泉の成分の違いによって、腸内細菌叢に変化がみられます。

解説

温泉には成分によって、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、硫黄泉、放射能泉、含ヨウ素泉、単純温泉など10種類の違いがあります。

これらの成分の違いによって、細菌の繁殖のしやすさにも違いがあるでしょうか。

この疑問に関しては、九州大学の研究があります。

温泉の成分がヒトの腸内細菌叢に及ぼす変化に関して調べた研究です。 病気のない健康な成人が別府温泉のさまざまな泉質の温泉に毎日20分間以上1週間連続して入浴したところ、腸内細菌叢に影響がみられました。

炭酸水素温泉ではビフィズス菌(Bifidobacterium bifidum)など数種類の腸内細菌が特に増加し、硫黄泉ではRuminococcus菌など、単純泉ではOscillibacter菌など特定の数種類の腸内細菌が有意に増加しました。

世界中のさまざまな泉質の温泉が、関節の痛みや、皮膚病の治療に昔から利用されてきました。 温泉の効果には、高血圧が軽減したり、睡眠が改善したり、さまざまな効能が言い伝えられています。

温泉の健康効果には、泉質の差による腸内細菌叢の変化が関係しているのかも知れません。

(参考文献)

Takeda M, Managi S, et al. Scientific Reports 14: 2316, Jan 28, 2024.

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