腸内細菌叢
さまざまな役割

まとめ
腸内細菌叢は、宿主の動物と「共生」の関係にあり、お互いに助け合って機能を補い合っています。 たとえば、腸内細菌は、宿主動物が自分で作れない各種の必須ビタミンを作り、免疫防御や、さまざまな病気の予防、腸の動きにも関係していて、認知症の予防にも役立っています。
解説
腸内細菌叢は、宿主の動物と「共生」の関係を築いています。 つまり、腸内細菌と宿主の動物は、お互いに助け合って生きていて、相手のために利益になるように、機能を補い合っています。
この関係は、「寄生」ではなくて、「共生」なのです。
具体的には、ヒトや動物は、腸内細菌が生息するための、安全で快適な環境と栄養分を提供しています。
一方、腸内細菌は、宿主動物が自分で作れないけれども、動物が生きるために必要な各種の必須ビタミンを作って、それらを提供してくれています。 たとえば、ビタミンB1, B2, B3, B5, B6, B7, B12, K, ニコチン酸、葉酸(B9)などを作っています。
そのほかに、腸内細菌叢は、免疫防御や、気管支喘息、糖尿病など、さまざまな病気の予防、腸の動きなどにも、関係していることが分かってきました。
最近では、認知症の予防にも役立っていると言われています。
このように、腸内細菌叢は、単なる雑菌ではなく、宿主動物の健康のために、なくてはならない重要な存在なのです。
この章では、腸内細菌叢に関する、最近の情報を解説してみようと思います。
腸内細菌叢の働き
脳腸連関

まとめ
自律神経や、ホルモン、サイトカインなどの液性因子を介して、腸内細菌叢と宿主動物の脳が、双方向的に連絡して影響を及ぼしあって協力している関係を「脳腸連関」といいます。
解説
近年、腸内細菌叢の研究が盛んになって、従来は、考えられなかったような機能が、明らかにされてきました。
何と驚いたことに、腸内細菌叢は、宿主動物の脳と連絡し合って、お互いに協力しながら、体の健康維持のために働いていることが、最近の研究でわかってきたのです。
さらに、宿主の免疫系の調節にも貢献して、宿主を守っていることも分かってきました。
脳が神経経路を介して腸に指令を送って、腸の働きを調節していることは理解できますが、逆に、腸内細菌叢が遠く離れた脳にメッセージを送っているとは、驚きです。
脳と腸は、自律神経のほかにも、ホルモン、サイトカインなどの液性因子を介して、双方向的に影響を及ぼしあっているのです。
この脳と腸の双方向のコミュニケーションと協力関係を、「脳腸連関」あるいは「脳腸軸」(brain-gut axis)、あるいは「脳腸相関」(brain-gut interaction)といいます。
この腸内細菌叢の働きを、この章では脳腸連関と呼ぶことにします。
腸内細菌叢の働き
脳腸連関

まとめ
腸内細菌叢と腸がセットになった共益関係は、多面的な機能を発揮して、宿主を守る働きや、認知症を予防する働きもしています。
解説
以前は、腸は食物が通過する単なる管だと考えられていました。
しかし、最近の研究により、腸内細菌叢と腸は、セットになってさまざまな機能を発揮している重要な臓器だと考えられるようになりました。
もし、仮に、腸内細菌叢がいなければ、小腸や大腸は単なる管でしかありません。
ところが、腸に腸内細菌叢が住んでいて、宿主と共益関係を築き上げているからこそ、腸は、多面的な機能を果たすことができているのです。
さらに、宿主を守る働きや、認知症を予防する働きもしています。










