海外の医療事情
海外旅行中の医療費

まとめ
海外旅行中の医療は全額自費治療になります。
外国では、国によってそれぞれ医療事情が違います。
解説
海外の国々を旅行中に急病になったときは、どうなるでしょうか?
自分は若いから病気にならない、とは言えません。 健康な人でも、何か怪我をするかも知れません。
転倒したときの転び方によっては、手足の骨を骨折することも起こりえます。 急に激しい腹痛になるかも知れません。
外国を旅行中に、旅先で急な病気や怪我で入院が必要になったとき、日本の健康保険証は使えません。
海外の国々では、われわれは医療保険を持たない人という扱いになります。
ですから海外旅行中の病気の治療費は全額自費治療になります。
個人で海外旅行に出かけるとき、皆さんは、出発前に空港で、旅行中の病気や予期せぬアクシデントにそなえて、旅行期間中の保険を個人で申し込むと思います。
万が一の怪我や病気で治療や入院が必要になったときに備えて、短期間だけの医療費保障のプランが、保険会社やカード会社で用意されています。
そこで、支払い保証金額の上限が高額なコースを選んでおけば、旅行先での医療費が保険で補償されるので、旅行中にどんなことがあっても安心だとわれわれは考えます。
ところが、著者が最近聞いた話では、事情がちょっと違います。
外国では、われわれは、現地の国で有効な医療保険を持っていない人という扱いになります。
つまり、自費治療なので、医療費は全額いったん自費払いする必要があります。
旅行保険では、契約期間中の事故や病気でかかった治療費は、日本に帰国した後に、個人が契約会社に申請することによって、だいぶ後になって、外国での治療で支払った医療費が、保険の条件の範囲内で、保険会社からわれわれに支払われる仕組みです。
つまり旅行保険は、海外の病院ではその場で使えないのです。
日本国内の健康保険証とは違います。
諸外国の医療事情
旅行者は自費治療

まとめ
外国では、それぞれの国で、医療事情が違うようです。
どの国でも、外国人旅行者は、いったん全額自費で治療費を支払う必要があります。
解説
イギリスでは、国民は無料で医療を受けられますが、旅行者は自費治療になります。
イギリスに住んでいる人が病気になると、まずGP(general practitioner)(総合診療医または家庭医)のところに行きます。 予約に数日~1ケ月間待たされることが多いようです。 そこで必要と判断されればGPから病院や専門医に紹介されます。
直接病院に受診することは原則できません。 またGPも病院も自分が住む地域によって決められているので、自宅や職場から近いGPを選ぶことになります。 地域外のGPや病院に行くことはできません。
この制度により、医療資源の効率的利用、公平性、医療費の抑制、予防医療などがはかられています。
命にかかわる緊急事態のときは、救急外来(A&E; Accident and Emergency)を受診するか、救急車を呼ぶことになるでしょう。
ドイツでは、国民は全員が医療保険への加入が法律で義務付けられていて、公的医療保険(GKV; Gesetzliche Krenkenversicherung)か、民間医療保険(PKV; Private Krankenversicherunng)のどちらかに加入します。
ドイツの医療では、入院治療をおこなう病院(Krankenhaus)と通院外来を担当する医院(Praxis)とは別なので、病院では外来診療は行いません。
たとえば、アフリカの医療事情はどうでしょうか?
アフリカの多くの国々では、病院は国立病院のみのことが多いようです。 そして、旅行者が急病になったときは、現地の病院で治療を受けられるようです。 旅行者はお金持ちなので、歓迎されることが多いのです。
ただし、治療費の支払いのときに、現地の人々は10円の治療費の支払いで済む治療内容でも、旅行者は10万円の支払いを請求されることを覚悟しておきましょう。
もともと現地の人々のための貴重な医療資源を使って治療してもらうのだから、それくらいは我慢しましょう。
海外の国々では、医療事情もさまざまですが、旅行者は私費治療になります。 そして、私費治療の値段もさまざまです。
最近、外国出身の人が母親の肺がんの治療を日本で受けさせて、保険診療の3倍の治療費を請求されたのを不服として人種差別だといって裁判所に訴えた例がありました。
日本では生涯で数千万円の健康保険料を払う国民が、人生で数回病気になるとして、その
ときに支払う治療費の参考額が計算されて診療報酬に反映されているものです。 短期間に少額の保険料だけ支払う外国人の家族の自費での治療費が保険診療の2~3倍の計算になるのは少額すぎるくらいです。 5~10倍でもおかしくありません。 差別ではありません。 しかも自費治療は保険診療外の診療行為ですから、治療費の計算方法に決まりはありません。 請求された金額を支払うのが義務です。
そのうえ治療費を払わずに帰国されてしまうとどうにもなりません。 日本の各病院やクリニックでは、外国人患者の医療費の不払いが経営上の問題になっています。
医療保険の問題に触れるときは、別の側面にも目を向けておく必要があります。
医療ツーリズムと日本における外国人患者の問題です。 詳しくは東大病院の山田秀臣博士の著書をご参照ください。
山田博士ご指摘の内容の一部をご紹介してみましょう。
日本の医療制度に精通した違法ブローカーがいて、高額の報酬と引き換えに外国の重病患者を日本に送り込んで、日本の医療保険で格安に治療を受けさせているという隠された実情があるようです。
正規の「医療滞在ビザ」は手続きが面倒なので、簡単に手に入る「観光ビザ」で患者を日本に入国させ、短期間の国民健康保険を契約して、小さなクリニックで紹介状を書いてもらい、「地域医療連携」制度を利用して大病院の一般外来を紹介受診し、丸投げで入院させて高額の治療を格安の費用で受けさせるという方法です。 これが、いまの日本では合法なのです。
1回1億円以上かかる超高額な難病治療薬も、日本では公的保険でカバーされています。 在留資格3カ月超の国民健康保険を使うと、驚くほど安い値段で超高額な薬を使った治療も受けられます。 差額は国民の税金と保険料から支払われます。
2016年頃に1回約800万円のC型肝炎の治療薬を用いた治療が日本では格安の支払いで受けられることが海外で評判になり、最近では治療費が億の値段までエスカレートしているのです。
病院の側には、治療費を未払いのまま帰国されるリスクもあります。
米国では外国人を入院させる前に支払い能力を厳格にチェックする制度がありますが、日本でもそれを参考にすべきかも知れません。
日本国内でも、地方の自治体間で高額医療費の助成に格差があります。 地方の財政収入に大きな格差があるのが原因ですが、そのおおきな理由は法人税といわれています。 日本の法人税は本社の所在地に支払うので、全国規模で事業を展開する企業では、各支社は現地の上下水道やごみ処分など地方の行政サービスを受けているのに、税金は東京都だけに納付される制度です。
財政に余裕がある東京都は、ほかの地方に先駆けていろいろな施策を実現できました。 たとえば乳幼児の医療の無料化を18歳以下に拡大したり、夏の水道の基本料金の無料化や、不妊治療の無料化など、ほかの地方ではやりたくてもできない施策を東京都はこれまで先駆的に実施できました。
いまでは多くの自治体で18歳以下の医療費には助成が受けられるようになりましたが、それ以前は、我が子に小児がんや難病の高額な治療を受けさせるために、住民票を地方から東京都に移して、東京で治療を受けさせた家庭もあったようです。
日本国内でも、地方によって、高額医療の治療費の負担と、自治体間の助成に格差があることはときに問題になります。
同じような医療格差が、国際的にも起こっています。
ほかの国では超高額の医療費を支払う治療が、日本では格安の負担金で先進的治療を受けられるのです。
(参考文献)
1. 山田秀臣著.外国人患者:医療ツーリズムと日本の現実.新潮新書、東京.5月18日、2026.
2. 山田秀臣著.外国人患者のすべて:医療の現場・制度・インバウンド等で外国人患者に関係するすべての人のために.三省堂、東京。5月19日、2026.
米国の医療事情
高額な治療費

まとめ
アメリカで病気になったら、医療費はとても高額になるようです。
入院できない可能性もあることを知っておきましょう。
外国旅行中の治療費は、いったん全額自費で支払う必要があります。
解説
聞くところによると、アメリカの医療費はとても高額だそうです。
救急車を呼ぶと数十万円かかるそうです。
脳梗塞で入院して、集中治療と引き続き半年間の入院リハビリ治療を受けて、後遺症の麻痺から回復して職場復帰できた方から話を聞いたことがあります。 入院治療の費用が、総額5千万円だったそうです。 幸いにもその方の場合は、勤務中に脳梗塞を起こしたので、会社が肩代わりして治療費を支払ってくれたそうです。
個人で5千万円の治療費を支払うのは大変です。
心臓移植の手術をアメリカで受ける子供のための募金活動で、心臓移植手術とその前後の治療費に1~2億円の金額が必要で、それを寄附金で集めた話を、皆さんも覚えておられると思います。
大腸カメラ検査で約40万円、大腸ポリープの内視鏡摘除が150万円の治療費だったという話を筆者は聞いたことがあります。
救急車で運ばれて数日間入院すると数百万円請求されることも多いようです。
盲腸(虫垂炎)の手術で、入院治療費が1千万円かかった話もありました。
集中治療室(ICU)の入院料は1日約8万円~15万円で、それに治療内容に応じた追加料金がかるようです。
新型コロナウイルス感染症で重症化して2ケ月間ICU(集中治療室)で治療を受けた人の治療費の請求額が約2億7千万円~3億8千万円だったと話題になっていました。
旅行者である我々が急病になったら、アメリカではどうなるでしょうか?
アメリカで急病になったら、パブリックホスピタルに受診することになるようです。 都市によってはパブリックホスピタルがない場所もあるようですから、その場合は、現地の人に尋ねましょう。
アメリカの医療保険には、民間の医療保険から、公的医療保険までいろいろ複雑な種類があって、それぞれ内容が違うようです。 なかには医療保険を持っていない人もいます。 医療保険によって、受診できる病院や治療内容も違うかもしれません。
そして、われわれ旅行者は、医療保険のない人として扱われます。
旅先の病院では旅行者は全額自費治療になることを理解しておく必要があります。 旅行中の医療費が旅行保険会社から払い戻されるのは、日本に帰国後だいぶたった後です。
アメリカの病院を受診すると、まず、カードの支払い限度額をチェックされるようです。 カードの支払い限度額が1千万円でないので、病院に入院させてもらえなかったという話を筆者は聞いたことがあります。
外来治療の扱いで、鎮痛剤や解熱剤は自費で処方してもらえるでしょう。
アメリカの医療費は日本よりも高額なので、アメリカの病院に入院して全額私費で治療を受けるとなると、入院手術で1回の治療費が1千万円くらいになることはありそうです。 カードの支払い限度額が1千万円~3千万円くらいないと入院できないという話は、事実かも知れません。
個人で海外旅行に出かけたとき、旅行中の病気やケガで現地の病院で治療を受けるときは、全額自費治療になることを忘れないでください。 外国では、日本の医療保険は使えません。
海外旅行に出発する前に、空港で、自分で申し込む旅行中の保険は、現地の病院で使える医療保険ではありません。 海外の病院で治療を受けた医療費が保険会社から支払われるのは、帰国後だいぶ経ってからです。 外国旅行中の現地での医療はいったん自費治療になります。
海外に行く前に日本で健康診断や血液検査の機会があれば、積極的に受けて、もし異常がみつかれば日本でしっかり治療した後に外国に行くことをおすすめします。
日本の国民皆保険体制での公的医療保険制度は、至れり尽くせりの配慮がされていて、とても安い費用で高度な医療が受けられます。
海外で同じ検査や治療を自由診療で受けると、大変高額な治療費になる可能性があります。
アメリカで病院に救急受診すると、まず、最初にクレジットカードをチェックされるそうです。 そこで、クレジットカードの支払い利用可能枠の限度額が1千万円でないので、入院を断られたという話を筆者は聞いたことがあります。 救急の外来治療として鎮痛剤の処方箋は発行してもらえたようですが。
患者が治療費を支払えるかどうかは、どの国でも病院側の重要な関心事です。 入院させてもらえるかどうかは、病院側の判断で決まります。 軽症の腹痛、下痢、嘔吐などでは入院させてもらえないでしょう。
骨折しても病院に入院できない場合は、ホテルの部屋で傷みを我慢して自力回復を待つことになります。
そしてホテルで帰国の飛行機を友人に手配してもらって、日本に帰った後に日本の健康保険で入院して骨折などの治療を受けることになります。
普通の人は、クレジットカードの支払い利用可能枠の金額は、数十万円か、多くても数百万円でしょう。 それではアメリカの病院での入院治療費には足りないようです。
クレジットカード決済の利用可能枠の限度額が1千万円の人は、いったい何人いるでしょうか?
ブラックカードで、支払い限度額が無制限の人が、何人いるでしょうか?
外国に旅行に行く前には、クレジットカード会社との契約内容を読み直して、旅行中の病気の際のカード決済の支払い利用可能枠の上限の金額を確認しておいたほうがいいようです。
アメリカの病院事情をご存じの方は、旅行に行く前にクレジットカード会社と交渉して、一時的に、旅行中のクレジットカード決済の支払い利用可能枠の金額を1千万円~3千万円に引き上げておくそうです。
皆さんも、世界各都市を旅行中に、危ない経験をしたことがおありでしょう。 自分がどんなに気を付けていても、たまたま、危ない状況におちいることはありえます。 他人事ではありません。
もし病気やけがをしたら、じつは入院できない可能性があるのです。 外国で全額自費の医療を受けたら、いくらかかるでしょうか?
平和な日本しか知らない我々は、外国では無防備で隙だらけなので、狙われやすいようです。
これまで自分が無事だったら、それはとても幸運だったと思ってください。
日本の常識は、世界の常識ではありません。
日本の医療の丁寧な看護と細やかなチーム医療は、海外の患者さんたちから支持され絶賛されています。 カテーテルや内視鏡の技術レベルの高さはもちろん、親身で丁寧な日本の看護とチーム医療は、評判がとても高いのです。 文化の違いを寛容に受け入れて、言葉が通じなくても柔軟な対応と真摯な姿勢、思いやり、安全管理など、日本の医療水準と優秀なスタッフは、高く評価されています。
日本の医療内容に慣れた我々は、海外の医療にとまどうことが多いでしょう。
ともかくわれわれは、日頃から予防医学を参考にして、自分が病気にならないように注意することが重要です。
若い世代は事故に会わない限り病院にお世話になる可能性は低いでしょうが、中高年になると外国でいつ病院にお世話になるかも知れません。
このホームページの情報を活用して、ご自身の健康維持を心がけてください。










